灰色はいいろの歩道橋ほどうきょうが
車くるまに揺ゆられてゆく頃ころ
僕ぼくは君きみの左側ひだりがわ
歩あるいて話はなして時ときは過すぎてゆく

近所きんじょの子供こどもがすれ違ちがい通とおりゆく
少すこし前まえの
僕ぼくらもそうだったいつも君きみがいた
いままでは

わかりやすい言葉ことばで君きみにぶつけたら
きっと涙なみだするだろう僕ぼくに背せを向むけて
強つよがる君きみはいつも親指握おやゆびにぎってた
これが初はじめてのハナレバナレ

制服せいふくの右袖みぎそでには
つかみ合あって出来できたほつれが
ケンカしてまたふざけ合あって
怒おこって笑わらってそして泣なきあった

街灯がいとうに照てらされて
アスファルト見みつめて
浮うかんでくる
公園こうえんのベンチやグランドの鉄棒てつぼうが
消きえないよ

きれいな言葉ことばでさえ受うけ入いれられない
きっとその日ひがきても信しんじられないだろう
うつむいた唇くちびるがそっと震ふるえてた
隠かくしきれてない僕ぼくもそうだけど

どうでもよかった一言ひとことも
新あらたな街まちへの高たかまりも
育はぐくんだ時ときもいつしかこぼれ落おちていく
日暮ひぐれの空そらが儚はかないよ

最後さいごの夜よるは雨あめで窓まどを濡ぬらしてる
膝ひざを抱かかえて部屋へやの隅すみで固かたまるよ
冷ひえたフローリングが僕ぼくを吸すい付つけて
君きみの呼よぶ声こえが

傘かさもささずに走はしる
雨あめに打うたれては
迷まよう気持きもちぬぐって空そらに求もとめるよ
せめて今夜こんやだけでも君きみの左側ひだりがわ
これが最後さいごかな
明日あしたもういない
君きみと初はじめてのハナレバナレ
ハナレバナレ