文字サイズ
よみがな
闇やみが夜明よあけに変かわる頃ころ
はじまりがおわりを食たべている
その暗黒あんこくと
その黎明れいめいの
うつくしさ

月つきは今日きょうも沈しずんで行ゆく
春はるは明日消あしたきえて行ゆく
その一瞬いっしゅんの
その臨終りんじゅうの
うつくしさ

手てに入いれた星ほしの雫しずくは
ただの石いしころに変かわってく
遠とおくで煌きらめいているものが
僕等ぼくらを縛しばる

目めの中なかにいるカナリアは
歌うたを忘わすれてしまったから
まだ届とどかない
届とどきはしない
うつくしさ

朽くち果はてて行ゆく箱庭はこにわに
還かえらない種たねを蒔まき続つづけて

その黎明れいめいが
その春雷しゅんらいが
その暗黒あんこくが
ただ残酷ざんこくに

僕等ぼくらを包つつむ