空からのワイングラスの横よこで 私わたしの目覚めざめを待まっているのは
千切ちぎられた紙切かみきれに列ならんだ 青あおいインクで書かかれた美うつくしい文字もじ
ふたりで夜よるに漕こぎ出だしても 夜明よあけの頃ころにはひとり置おき去ざり
愛あいしてはならぬと拒こばんでも 抱だかれてはならぬと解ほどいても

いけない時間じかんは甘噛あまがみのように 淡あわい赤色あかいろ 消きえない痕あとを残のこして

こんなにもあなたのことを想おもってるのに
時々ときどきどうしようもないほど憎にくくなる
あなたは瞳ひとみの奥おくをのぞかせない
そのくせ私わたしの心こころは何なにもかも見透みすかされてる

ピアノのように磨みがきあげた あの黒くろい車くるまはどのあたり?
この「さよなら」はひと時ときのため? それとも永久とわの別わかれなのか

失うしない続つづけるばかりの時間じかん 無垢むくな笑顔えがおではしゃいでたのは遠とおい日ひ

いつからか恥はじらうことさえ忘わすれてた
無理矢理剥むりやりはぎ取とってしまったのはあなた
はだけた自分じぶんの素顔すがおを見みつめると
ユラユラ淫みだらな欲望よくぼうの炎ほのおを灯ともしていたの

開あけはなったままの天窓てんまどに 煌きらめいてる星々ほしぼしは決けして
ひとつとこの手てに落おちない それならばそっと窓まどを閉しめましょうか

秘ひめ事ごとはいつも秘ひめ事ごとのまま 誰だれも知しらない 暗くらい闇やみへと 消きえてく

こんなにもあなたのことを想おもってるのに
一秒針いちびょうはりが進すすむごと強つよくなる
あなたの瞳ひとみの奥おくがのぞけたなら…
ひとつでも本当ほんとうの気持きもちを探さがせたら…
それだけでいい