あたしは十九じゅうくで 町まちでも噂うわさの ちょっとした不良ふりょうで
わりかし美人びじんの 部類ぶるいだったから ちやほやされたわよ
眉まゆをひそめてる 大人おとなを尻目しりめに ずいぶん遊あそびもしたわ
人生じんせいって 何なんて ちょろいもんだって 冷さめたまなざしで

あなたがあたしを 好すきといったとき 思おもわず笑わらったわ
あんまり真面目まじめで こちこちになって ふるえてさえいたでしょう
そんな男おとこって 見みたことなかった それで あたしもふるえた
人生じんせいって 何なんて 奇妙きみょうで素敵すてきって 少すこしだけ泣ないた

安やすいアパート 暗くらい部屋へや 景気けいきの悪わるい時代じだいだって
へらないジョーク 言いい合あって ふたり笑わらえば しあわせで

五年ごねんがたったら あたしはやめてた 煙草たばこをまたはじめ
あなたの浮気うわきが 七回目ななかいめ 数かぞえ あたしも三回目さんかいめ
視線しせんをそらして 会話かいわも減へったけど どこでもそんなものでしょ
人生じんせいって そうよ 退屈たいくつだったって 思おもい出だしながら

さもない毎日まいにち 半年はんとしが過すぎた その日ひは止やまない雨あめ
聞きいたこともない 病気びょうきの名前なまえが あなたのくちびるから
あたしは壊こわれた 空缶あきかんみたいに 口くちを開あけていただけ
人生じんせいって 何なんて 意味いみが不明ふめいなの いなくなるの あなた

白しろい煙けむりが 昇のぼった日ひ 空そらはどこまで よく晴はれて
あたしは泣ないた 自分じぶんでも 疑うたがうくらい 大声おおごえで

愛あいだったかなんて 誰だれもわからない 教おしえてほしくない
とっくに忘わすれた 昔むかしの日ひのこと 時々浮ときどきうかぶけど
ほほ笑えみが少すこし 混まじっているなら それでいいと言いうわ
人生じんせいって 何なんて 愚おろかなものなの あとになってわかる
人生じんせいって 何なんて 愚おろかなものなの みんなあとで気きづく