揺ゆらめいて 揺ゆらめいて
咲さいた花火はなびが 横顔よこがお 君きみを染そめて

冷つめたい秋風あきかぜが 夏色なついろ 連つれてゆく
薄うすれてしまうけど 君きみは 消けせないまま

沈しずんだ陽ひは昇のぼると 微笑ほほえみ 呟つぶやくけど
理解りかいは風かぜに流ながされて 波打なみうつように記憶きおく 引ひき戻もどすよ

いとしくて いとしくて
世界せかいのすべて 君きみの微笑ほほえみ 一ひとつで変かわる
会あいたくて 会あいたくて
言葉ことばは何故なぜか うらはら
宙ちゅうに 溶とけた

解ほどけた糸いとは 紡つむいだ筈はずで
霞かすんだ姿すがた
白しろく、小ちいさな手ては 伸のばす指ゆびをすり抜ぬけ 消きえた。

揺ゆらめいて 揺ゆらめいて
ひらめく髪かみが 君きみの 途切とぎれぬ香かおり残のこして

いとしくて いとしくて
失なくしたものは 今宵こよいも 甘あまく痛いたみ
声こえよどうか
はばたいて はばたいて
虚飾きょしょくの空そらは
霧雨きりさめにも似にている はかなさ
会あいたくて 会あいたくて
今いまなら解わかる 求もとめる事ことよりも 君きみを受うけ止とめると
凛りんとした願ねがい
風鈴ふうりんの音おとに溶とけた