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てん微睡まどろかみゆびから
物語ものがたりをしたためる藍墨インク
そらこぼれてひろがる金青ブルー

かたいた門扉もんびひらいて
いまが 逢魔ケ刻おうまがとき

一斉いっせい菫蛾緑蝶すみれがりょくちょう
鱗粉りんぷん七色なないろ霧雨きりさめ
おそれずれた外套マントいで

さあようこそ
まよまれた乙女おとめ
われがしろあるじ

あお絨毯一歩進じゅうたんいっぽすすめば
紅粉青蛾こうふんせいが侍女じじょ
そのにぎうたげさそ
おく大広間おおひろまには
大勢おおぜいはなやぐひと

ときもど

夕月豪華ゆうづきごうか仮面舞踏会かめんぶどうかい
村人罪人魔女むらびとつみびとまじょおうおど

とおむかし
幻影げんえいなどではない

乙女おとめよ あなたが
わたしを目覚めざめさせた
そのむねにある純粋じゅんすい

なんとなつかしい
むらさきいろのひとみなのだろう

っておられようか
ひとに そのプシケ
ちょうわり
あいした場所ばしょ はなれられないまま
うのだ

ながあいだ わすれていた
よろこびと そしてかなしみ

ああなにより
わがしろより
まもりたかったうつくしいつま

わたしをつめる
その
あののもの

どうかかないでおくれ

永遠えいえんさき
逢魔ケ刻おうまがとき
やみしずむまで