確たしかなものなど どこにもないと嘆なげいた
あの頃ころ 本当ほんとは ずっと何なにを探さがしてたんだろう

少すこしゆっくり話はなすくせが
愛いとしくって まだ うつったまま

夏なつの雨あめと 秋あきの影かげと 冬ふゆのサイレン 春はるに舞まうビル風かぜを
胸むねのなかの
きみのやわらかい気配けはい
抱だきしめて歩あるいた
忘わすれたくないと泣ないた

黙だまってそれきり 出でてゆくきみを見みていた
あの頃ころ 本当ほんとは この弱よわさがただ もどかしくて

きみの答こたえになれなかった
僕ぼくを残のこして夜よるが明あける

線路せんろのさび 工場こうばの壁かべ 小ちいさな歩道橋ほどうきょうへとつづく道みち
胸むねの奥おくの
きみのやわらかい気配けはい
ありふれた景色けしきも
物語ものがたりにしてくれた

つないだ指ゆび 負まけず嫌ぎらい
シャツの匂におい
笑わらう一瞬いっしゅんの美うつくしさ
いまも残のこる
このやわらかい気配けはい
きみが生いきたすべては
確たしかな永遠えいえんだった

あのとききみは 本当ほんとは何なにを
幸しあわせと感かんじていたの 分わからない
さよなら
でも
このやわらかい気配けはい
まだここで生いきてる
確たしかな悲かなしみ抱だいて