例たとえば俺おれが俺おれじゃないとして、お前まえはお前まえだと言いいきれるのか?
砂すなの器うつわを壊こわして、こぼれた心こころを拾ひろって集あつめられるか?

誰だれかの呼よぶ声こえが耳鳴みみなりに変かわった。
時ときが止とまったみたいだ。さあ、目めを覚さませ。

深ふかい闇やみを俺おれは抜ぬけ出だした。疾風はやてみたいに逃にげ出だした。
生いきた屍しかばねみたいだった俺達おれたちは、壁かべの外そとへ。

例たとえば世界せかいに光ひかりが無ないとして、お前まえはお前まえを見みつけられるか?
スローモーションで映うつった景色けしきのピースを数かぞえて繋つなげられるか?

誰だれかの泣なき声ごえが地響じひびきに変かわった。
ゼロから始はじめよう。さらば、最後さいごの夜よる。

長ながい夢ゆめを俺おれは抜ぬけ出だした。赤あかい身体からだで逃にげ出だした。
飢うえた獣けだものみたいだった、俺達おれたちの目め。

嵐あらしの彼方かなたへ踏ふみ込こみ、手てを伸のばし、
刺ささった刃やいばをおもいきり抜ぬいて言いった。「俺おれはお前まえだ」

深ふかい闇やみを俺おれは抜ぬけ出だした。疾風はやてみたいに逃にげ出だした。
生いきた屍しかばねみたいだった俺達おれたちは、壁かべの外そとへ。また会あおうぜ、地図ちずにない場所ばしょで。