挟はさんだ栞しおりを抜ぬき取とった
忘わすれないこと覚おぼえてるから
肌寒はだざむさと木漏こもれ日びの中なか、口くちずさんでる私わたしがいる
「大切たいせつなのは形かたちではなく記憶きおくに残のこる彩いどろりなのだ」
小説しょうせつで見みたあの台詞せりふが今更頭いまさらあたまを支配しはいするんだ

空回からまわり、空回からまわりして
空回からまわりしてるみたいだ
何故なぜか同おなじページばっかり開ひらいてしまうの

あれからどれほど月日つきひが経たったろう
少すこしだけ背せも伸のびた
あれからどれほど時間じかんが経たったろう

撫なでるような風かぜに
桜さくらの花はなが舞まって
あなたの声こえを思おもい出だしてしまう
そんな春はるよ
桜さくらの花はなが舞まって呼よび止とめられた気きがして
振ふり返かえってしまったの

上着脱うわぎぬぐにはまだ早はやくて
マフラーを渡わたすには遅過おそすぎて
なんて意地悪いじわるな季節きせつだろう
あなたに見みせたいものばかり

叶かなわない、叶かなわないけど構かまわない
そう言いえる、そんなただ強つよがった大人おとなになりたいんだけど
桜さくらの花はなが舞まってあなたの声こえを思おもい出だしてしまう
淡あわい春はるよ
桜色さくらいろに染そまって、この花はなよりも綺麗きれいな花はなになれたらいいな

叶かなわない、叶かなわないけど構かまわない
口くちに出だせば視界しかいがぼやけて
まるで泣ないてしまってるみたいだ

あれからどれほど月日つきひが経たったろう
二人並ふたりならんで見みた桜さくらの花はなが舞まって
遠とおく遠とおく飛とんでゆく、思おもわず追おいかけてしまう
国道沿こくどうぞいを走はしって
あなたの声こえを思おもい出だしてしまう

桜さくらの詩うた