あれがあなたの
好すきな場所ばしょ
港みなとが見下みおろせる
こだかい公園こうえん
あなたの声こえが小ちいさくなる
ぼくは黙だまって外そとを見みてる
眼めを閉とじて
息いきを止とめて
さかのぼる
ほんのひととき
こんなことは
今いままでなかった
ぼくがあなたから
離はなれてゆく
ぼくがあなたから
離はなれてゆく
たそがれは
風かぜを止とめて
ちぎれた雲くもはまた
ひとつになる
「あのうただけは
ほかの誰だれにも
うたわないでね
ただそれだけ」
大おおいなる河かわのように
時ときは流ながれ 戻もどるすべもない
こんなことは
今いままでなかった
別わかれの言葉ことばを
さがしている
別わかれの言葉ことばを
さがしている
あゝ嘘うそでもいいから
ほほえむふりをして
ぼくのせいいっぱいの
やさしさを
あなたは
受うけとめる筈はずもない
こんなことは
今いままでなかった
ぼくがあなたから
離はなれてゆく