海うみの碧あおさに
惚ほれ込こみながら
さびれ番屋ばんやで
風かぜを待まつ
吼ほえる山背やませの
うねりも消きえて
沖おきは朝焼あさやけ
ゴメが舞まう
酒さけも男おとこの
清きよめ酒ざけ
北きたの船唄ふなうた
やん衆挽歌しゅうばんか
口紅べにも引ひかずに
働はたらく女房にょうぼう
もんぺ姿すがたで
網あみを刺さす
腕うでの古傷いたみを
こらえて耐たえて
せめていい夢ゆめ
見みせたいものと
右みぎへ左ひだりへ
舵かじをとる
北きたの船唄ふなうた
やん衆挽歌しゅうばんか

潮しおで揉もまれた
しわがれ顔がおが
海うみの男おとこに
よく似合にあう
みぞれ混まじりか
雲足くもあしはやい
地獄廻じごくまわりの
船ふねが出でる
ぐいと飲のみ干ほす
命酒いのちざけ
北きたの船唄ふなうた
やん衆挽歌しゅうばんか