「陽炎」の歌詞 鬼束ちひろ

渡わたり鳥どりになって
貴方あなたの気持きもちを抱だいて飛とぶわ
「どこへ行ゆくの?」かって
見みたことのない空そらを見みせるわ
想おもいの終おわりを夢見ゆめみて
手紙てがみは燃もやしたけれど
叶かなう事ことのない願ねがいだけが
時間ときを伝つたって

貴方あなたをさらってしまいたい
春はるの息吹いぶき 夏なつの風かぜ
冷つめたい水面みなもに言葉ことばを浮うかべて
涙なみだがひとつ さよならひとつ
貴方あなたがいなければ
ただそれが全すべてだと

傘かさのない路みちは
冷つめたいままそっと音おとを刻きざんで
頼たよりない街まちを
誰だれが愛あいしてくれるのだろう
揺ゆらめく心こころを無視むしして
記憶きおくは舞まい散ちるけれど
叶かなう事ことのない願ねがいだけを
指ゆびでなぞって

貴方あなたをさらってしまいたい
秋あきの鈴鳴すずなり 冬ふゆの吐息といき
微かすかな祈いのりを両手りょうてですくって
涙なみだがひとつ さよならひとつ
貴方あなたがいなければ
ただそれが全すべてだと

淡あわい灯火ともしびの中なかで
私あたしの瞳ひとみは熱あつさを増ます
貴方あなたの事ことが見みえるように
痛いたみを晒さらして

貴方あなたをさらってしまいたい
春はるの息吹いぶき 夏なつの風かぜ
冷つめたい水面みなもに言葉ことばを浮うかべて
涙なみだがひとつ

貴方あなたをさらってしまいたい
秋あきの鈴鳴すずなり 冬ふゆの吐息といき
微かすかな祈いのりを両手りょうてですくって
涙なみだがひとつ さよならひとつ
貴方あなたがいなければ
ただそれが全すべてだと