「いつものドアを」の歌詞 THE BACK HORN

いつものドアを開あけるのが
これほど怖こわいことだとは

深ふかい海うみの底そこみたいな夜よるが続つづいて
橙だいだいの電灯でんとうが遠とおくなってゆく

幸しあわせを捕つかまえたその拳こぶしで傷きずつけて
幸しあわせを手放てばなしたその手てのひらで受うけ止とめて

我儘わがままはあなたの分ぶんだよ
我慢がまんしたあなたの分ぶんだよ

何度なんども咳せき込こむ音おとだけがずっと
この世界せかいの片隅かたすみでカラカラと響ひびいた

幸しあわせを捕つかまえたその拳こぶしで傷きずつけて
幸しあわせを手放てばなしたその手てのひらで受うけ止とめて
失うしなったその瞬間しゅんかんに愛いとしくなる そのくり返かえし
無ないものねだりばかりで全すべてを失なくしてしまった

あなたの咳せきの音おと
その咳せきと咳せきの間あいだの沈黙ちんもくに耐たえきれず僕ぼくは震ふるえてる
この世よの外側そとがわに無限むげんの外側そとがわに落おっこちる感かんじ
いっそ殺ころしてくれないか

いつだって冷ひえ切きった僕ぼくの手てを包つつみ込こんだ
あなたのその手てのひらはやわらかであたたかくて
失うしなったその瞬間しゅんかんに愛いとしくなる そのくり返かえし
無ないものねだりばかりで全すべてを失なくしてしまった

いつものドアの向むこうには
穏おだやかに陽ひだまりが揺ゆれるだけ