「リンゴ」の歌詞 吉田拓郎

ひとつのリンゴを君きみがふたつに切きる
ぼくの方ほうが少すこし大おおきく切きってある
そして二人ふたりで仲良なかよくかじる
こんなことはなかった少すこし前まえまでは
薄汚うすよごれた喫茶店きっさてんのバネの壊こわれた椅子いすで
長ながい話はなしに相槌あいづちうって
そしていつも右みぎと左ひだりに別わかれて

このリンゴは昨日二人きのうふたりで買かったもの
ぼくの方ほうがお金かねを出だして
おつりは君きみがもらって
こんなことはなかった少すこし前まえまでは
コーヒーカップはいつだって二ふたつ運はこばれてきて
向むうとこちらに、ウエイトレスは
さりげなくカップをわけて

ふたつめのリンゴの皮かわを君きみが剥むく
ぼくの方ほうが巧うまく剥むけるのを君きみはよく知しってるけど
リンゴを強つよく齧かじる、甘あまい汁しるが唇くちびるをぬらす
左ひだりの頬ほほを君きみはぷくんとふくらませて
欲張よくばってほおばると
ほらほら 話はなせなくなっちまうだろう