「春風」の歌詞 矢野顕子

揺ゆるがない幸しあわせがただ欲ほしいのです
僕ぼくはあなたにそっと言いいます
言葉ことばをひとつひとつ探さがして
花はなの名前なまえをひとつ覚おぼえてあなたに教おしえるんです

気きづいたら雨あめが降ふってどこかへ行いって消きえてゆき
手てを握にぎり確たしかめあったら
眠ねむってる間あいだくちづけして
少すこしだけ火ひを灯ともすんです

シロツメ草ぐさで編あんだネックレスを
解ほどけないように 解ほどけないように
溶とけてなくなった氷こおりのように花はなの名前なまえをひとつ忘わすれて
あなたを抱だくのです

遠とおく汽車きしゃの窓辺まどべからは春風はるかぜも見みえるでしょう
ここで涙なみだが出でないのも幸しあわせのひとつなんです
ほらまた雨あめが降ふりそうです

帰かえり道みちバスはなぜか動うごかなくなってしまいました
傘かさを探さがしてあなたを探さがして
遠とおく汽車きしゃの窓辺まどべからは春風はるかぜも見みえるでしょう