「うつせみ」の歌詞 Plastic Tree

僕ぼくらはね、忘わすれていくから憶おぼえていてね。黒猫くろねこよ。
くちづけでおぼろげな愛あいを証明しょうめいしてくふたりなの。
目めをそらし見みれば雨灯あめあかり。おそろいの夢ゆめは色違いろちがい。
しらしらと流ながるるは涙なみだ。この心こころ、清きよくなれるなら。

絡からまるたび、うわごと綴つづってままごと。
狂くるおしさでふたり、静しずかなケモノで―――――。

捻ねじれていた心こころの花はなが開ひらく。
ほら、綺麗きれいで声こえも息いきも途切とぎれそう。
暗闇くらやみ。手てをのばせど指先ゆびさきの向むこう、うつせみ。
君きみは誰だれを見みているの?

針槐ハリエンジュ。禁きんじられた遊あそび。
ふたりだけの秘密ひみつがほしい。
雨音あまおとは鍵盤けんばんを叩たたく。追おいかけて歌うたう涙声なみだごえ。

知しりたいのは、問といも答こたえもなき事こと。
別々べつべつの鼓動こどうがいま、重かさなって―――――。

覗のぞいてみて、心こころの花はなが咲さく。
ほら、契ちぎって。世界せかいが裏切うらぎるその前まえに。
掴つかめない手てが捉とらえられないのは、あの面影おもかげ。
君きみは何なにを見みていたの?

ロンリネス。
目隠めかくしが邪魔じゃまでどうしても触さわれない。
テンダネス。
爪痕つめあとたどれば意識いしきが遠とおのいて、まほろば―――――。

捻ねじれていた心こころの花はなが開ひらく。
ほら、綺麗きれいで声こえも息いきも途切とぎれそう。
暗闇くらやみ。手てをのばせど指先ゆびさきの向むこう、うつせみ。
君きみに僕ぼくは映うつらない。

止やまない雨あめ―――――。
全すべては水みずの泡あわ。
嗚呼ああ、うつせみ。
恋こいは消きえていくばかり。
いくばかり。